家事の合間や寝つきが悪いときに小説を読んでいます。
本は図書館で借りるのですが、あまりに膨大な量の本があり選びきれなかった経験があり、以降、事前にテーマを決めて本を選ぶようになりました。
最近のテーマは大人世代の恋愛小説。
ちなみに”大人世代”とは、主に自分の世代以上、アラフォー以上と捉えています。
”大人”と言われると、つい自分の世代以上を想像してしまうのですよね。
というわけで、30代後半以上の登場人物が出てくる作品に限定し、面白かった恋愛小説を3つご紹介します。
①センセイの鞄
川上弘美作、2001年度谷崎潤一郎賞受賞作品。
40歳手前の主人公”ツキコさん”と、高校時代の国語教師だった”センセイ”との恋物語です。
30歳程の年齢差のある二人が居酒屋で飲み友達になるのですが、出てくる料理のなんとおいしそうなこと。
露店巡りやきのこ狩りなど季節感のある描写も楽しく、穏やかな気持ちで読み進められました。
二人の近すぎない距離や、正しい日本語で話すセンセイとの会話がこの作品特有のいい空気感を感じさせます。
ツキコさん役が小泉今日子さんでドラマ化もされたとか。ぴったりの配役ですね。
②平場の恋
朝倉かすみ作、山本周五郎賞受賞作品。
中学時代の同級生と50歳になって再会した”青砥”と”須藤”の恋物語です。
物語は、男性(青砥)が女性(須藤)の訃報を知った場面からスタートします。
身の丈で暮らすもう若くはない人々のありふれた生活の中で、愛する人や自分自身と真摯に向き合おうとする様子が丁寧に切り取られています。
二人が再開してからわずか2年間の月日を描いたとは思えない、密度の濃い時間が描かれていました。
読み終えた後、”平場の月”というタイトル(平場/平らな場所や土地、普通の場というような意味)が心に沁みました。
2025年11月14日、堺雅人さん主演(青砥役)で映画公開予定です!
③わりなき恋
岸惠子作
70歳になる女性と60歳になろうとする男性の恋物語。
主人公女性はドキュメンタリー作家で、男性は超エリートビジネスマン。
出会いはヨーロッパ行きのファーストクラスの機内という夢のような設定でした。
対して、加齢に伴う体の変化や、嫉妬が原因の大喧嘩、既婚男性が婚外恋愛するときの狡さなどは、現実的に描かれています。
主人公の恋の終わらせ方が潔く、相手への思いやりと強さを感じました。
作者の岸惠子さんは、フランスと日本の二拠点生活を経験されており、年齢を感じさせない若々しく美しいお姿が主人公女性と重なります。
まとめ
年を重ねると、体の不調や病気、死というものが生活の中で身近なものになってきます。
3作品とも、そういったものと、”人を愛する”ということが主人公たちの生活に共存していました。
”大人世代の恋愛小説”ならではの魅力だと思います。