やさしい生活

生きてるだけでえらい時代、自分にやさしく家計にやさしく

「対岸の家事」1・2話(感想)

TBS火曜ドラマ「対岸の家事」22:00~

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主人公の専業主婦・詩穂役に多部未華子さん、ワーキングマザー・礼子さん役に江口のりこさん、育休中のパパ友・中谷役にディーン・フジオカさんが出演中です。原作は、朱野帰子さんの同名小説。コメディ要素もあって面白いのですが、家事や育児についていろいろ考えさせられてしまうドラマです。

 

専業主婦への世間の視線

わたしは現在専業主婦ですが、ワーキングマザー歴が長かったため、登場人物の中ではワーキングマザーの礼子さん(江口さん)に共感しがちです。ですが、第1話~2話とも、主人公の専業主婦・詩穂に対する登場人物たちの暴言が気になりました。

「専業主婦は絶滅危惧種」「専業主婦は贅沢」

世の中では確かにそう思っている人がいるのかもしれませんが、本人に直接(または聞こえるように)言ってしまうのはいただけません。このドラマの登場人物もそうですが、自分に余裕がなくなるまで我慢してがんばっていると、余裕がある(ように見える)人にいらいらしてしまうのです。えらそうに言ってますが、わたしも何度も経験済みです。他人を攻撃したくなったことに気づいたら、まずは自分のケアを優先したいものです。

 

子育て中の孤独感

ドラマの中では、「子どもと二人っきりの日中は、どうしてこんなに時間が長く感じるのか」と、専業主婦の主人公や育休中のパパ友さんがつぶやく場面があります。幼児期頃までの子どもと二人っきりで過ごしたとき、誰もが感じたことがあるだろうことです。兄弟児がいると子ども同士で遊んでくれたりするので、ちがった空気感になるのですけどね。また、子どもが成長していくと、大人同士のような会話も成立するようになってきます。わたしは長女が中学生になるタイミングで専業主婦になりましたが、長女と話す時間が圧倒的に増えました。近所に話し相手もおらず、日々家族とのみ過ごしているわたしですが、大人との会話に飢えていないのは長女との会話があるからかもしれません。

子育て中の孤独感は、専業主婦に限ったことではありません。わたしが思い出す限り、ワーキングマザー時代も孤独な闘いの連続だった…。

例えば子どもの体調不良時。夫はちょっとした風邪症状や微熱では、「登園(登校)させれば?」というタイプで、どうしてものとき以外はわたしが休んで対応していました。子どもを通院させてから主人の実家に預けて出勤することが多かったのですが、体調不良の我が子をおいていくのも気がかりだし、休んだら休んだぶん仕事はたまっていきます。夫に不満をもらしたとき、「じゃあ登園(登校)させればいいじゃん」と言われ、いやいや、コロナ最盛期、微熱でも登園(登校)ダメでしょと、不毛な言い争いになりました。大変なときに、一番頼りたい相手にわかってもらえないのはきつかった…苦しいときこそ、わかってもらいたいものなのです。

ドラマでは、礼子さんが、職場で休憩中の同僚に話しかけようとすると「今休憩中なんで」と確認事項にすら答えてもらえない場面がありました。わたしもそうでしたが、礼子さんは、いつ保育園からの呼び出しがあるかわからないため、常に先に先に仕事を進めておきたいのです。こんな職場での小さな摩擦も、ワーキングマザーに孤独を感じさせます。

 

子育ては仕事ではない

主人公の詩穂は、「お金をもらっていないから家事や子育ては仕事ではない」と言うパパ友さんに、娘が成長する場面を見たときなどに「ごほうびもらったと思う」「報酬はお金じゃないとだめなんでしょうか」と話します。家事や子育て自体「親がして当然」のことになっており、誰かに「よくやっているね」と褒めてもらえるものでも、評価されるものでもありません。子どもの存在自体が最高のごほうびなのです。同時に、子育てはやって当然と言われるには、あまりにも過酷な一面があると思います。特に産後の母親は、命がけの出産で体はぼろぼろ、不眠不休の対応を続けた1年後、ワーキングマザーの場合には職場復帰を求められます。そして、その後も「母親(父親)という責任」から逃れることはできません。仕事だったら退勤すれば終わりますし、「この仕事は合わない」と思えば辞めることもできます。そう考えると、子育ては仕事ではないというよりも、仕事じゃとてもできないことなのです。

詩穂の旦那さんが、仕事から帰ってきてたら「いちご(娘)はどうしてそんなにかわいいんですか~!」と娘を抱き上げるシーンがありました。いろいろと考えさせられてしまうドラマではありますが、詩穂の旦那さんが出てくる場面はほっこりします。わたしも、子どもが小さい頃に何度も同じように我が子に問いかけた覚えがあります。今でも、寝ている我が子に向かって、「かわいいねぇ」「だーいすき」と言葉に出すことがあります。こうやって言葉に出して何度も味わって、子育てのごほうび(報酬)を受け取っているのです。

子育て世帯が最優先すべきは、我が子が「かわいい」と思う瞬間を思う存分味わうこと。その思いがあればどうにかなるし、自分ができないことはいくらでも代わってもらえばいいと思っています。

このドラマに出てくる人たちみんなが、というか、世の中のリアルなママさんパパさんたちみんなが幸せであってほしいです。