気になっていた、”サウンド・オブ・フリーダム”という映画を観てきました。映画館に足を運ぶのは、昨年の冬休みに家族で観に行った”スパイファミリー”以来。しかも、平日の昼間に1人で行けるなんて、なんとも贅沢な時間を過ごしました。
映画の概要
アメリカの元政府職員が、児童誘拐や人身売買、性的虐待といった国際的性犯罪の犠牲となった少年少女たちを救い出すアクション映画。主人公のティム・バラードは実在の人物であり、実話をもとにした作品です。(YouTubeで検索するとティム・バラード氏のインタビュー動画も出てきますよ)
世界では数百万という子どもが犠牲になっている
日本にいると「人身売買」と言われてもピンときませんが、世界各国では児童が誘拐され、売春をさせられるという犯罪が現実に起きています。年間で、少なくとも200万人の子どもたちが誘拐され、犠牲になっているという衝撃の事実。こういった人身売買に関わる取引高は、日本円で年間約21兆2000億円といわれています。衝撃です。
国を超えた国際犯罪で被害者を救出する難しさ
映画の序盤、アメリカ国土安全保障省の職員であるティムは、「これまでに何人の小児性愛者を捕まえた?」という同僚の問いに、「今日で 288 人だ、悪くない。」と答えます。対して、「助けた子どもは?」と聞かれると、「子どもたちがいるのは主にアメリカ国外だ。だから俺たちの仕事は小児性愛者を挙げる、それだけだ。」と答えます。アメリカ国土安全保障省の職員であるティムは、国外に売られた子どもたちの行方を追うことができないのです。国を超えた国際犯罪から、子どもたちをどう救出するのか、国境の壁などを越えていく難しさも描かれています。いくつもの壁に遭遇しながらも、子どもたちを救出するという信念に突き動かされていくティム。ジム・カヴィーセルという俳優さんが演じていますが、心に響くものがあります。
ペイ・イット・フォワードキャンペーン
この映画では、”金銭的な問題でこの映画を観ることができない人があってはならない”という趣旨から、応募者に無料鑑賞券がプレゼントされるキャンペーンがあります。詳しくは、公式サイトに掲載されています。このキャンペーンは、映画を観た人が映画の趣旨やメッセージに共感して寄付をし、次の観客につなげていくという取り組みで成り立っているそうです。映画の最後に、このキャンペーンのサイトにつながるQRコードが提示され、賛同した方はこの映画のバトンを次の方へ渡してほしいというメッセージが流れます。わたしは参加していませんが、経済格差の大きい国では、このようなキャンペーンが効果的なのかもしれませんね。実際、56カ国で3600万枚のチケットがこのキャンペーンで販売されたそうです。この映画は、2023年全米興行収入トップ10入りしており、アメリカではかなり話題になったのではないでしょうか。
感想
わたしは映画館に行く前に、ある程度人身売買等の世界情勢について、YouTubeなどで情報を入れてから観に行きました。実態を知ったときはショックでしたが、事前に情報を入れていたおかげで、映画館ではストーリーに集中することができました。テンポよく展開していくので、事前に情報を入れなかったら、衝撃が大きすぎて純粋に映画としては楽しめなかったかもしれません。映像では直接的に性的な描写がないようにしながらも、伝えるべき事実がきちんと伝わるように、かなり配慮されて作られています。
国内でも、もっと大々的に話題になっていいように思いますが、わたしの住んでいる地域では公開期間が1週間ほどと短く、タイミングが合わなければ観れなかったと思います。平日の昼間ということもあり、観客はまばらでした。
人間の闇の部分は直視したくないものですが、知る機会があるのに目をつぶりたくはないです。光も闇も存在を認識したうえで、自分がどうあるかが大切だと思います。子を持つ親の立場としては、画面に映る子どもたちの姿に胸がつまる思いでしたが、それでも観てよかったです。